
北海道上川町が北大と連携 登山者・企業参加型の大雪山の生物多様性調査事業をスタート
大雪山国立公園に位置する北海道上川町は主要産業である観光と大雪山の自然環境との共存を目指し、北海道大学地球環境科学研究院と連携して亜高山・高山域の生物多様性調査を登山者・企業参加型で行う実証実験「大雪いきもの図鑑プロジェクト」を9月17日(土)〜10月15日(土)に実施、9月17日(土)にはオープニングイベントを開催しました。
上川町は、層雲峡温泉や黒岳ロープウェイを核とした通年型の山岳リゾートタウンを目指す一方で、地球温暖化による環境変化により、高山帯における希少な高山植物や昆虫などの生物多様性への影響が懸念されています。その問題を解決するために北海道大学 地球環境科学研究院と手を組みました。
●事業の背景
希少な高山植物などが自生する大雪山国立公園の高山域は、生物多様性の観点から重要な地域であると同時に、その植生が作り出す景色は多くの登山者を魅了してきました。一方で地球温暖化による環境変化の影響で、笹類などの繁殖域の拡大や開花時期の変化による繁殖への影響などの問題が指摘されています。しかし、高山域での大規模で継続的な調査には限界があり植生変化の把握が難しい状況です。さらには、登山者の増加による人為的な被害もあり、今後インバウンドの再来訪などを考えるとその影響も懸念されます。
●登山客が増えるほど調査データが蓄積される「登山者参加型調査」
本事業では株式会社バイオーム(京都市 代表取締役 藤木庄五郎 )の生物情報アプリ「バイオーム」を活用。登山者が指定のエリア内で、植物・昆虫・動物をアプリで写真を撮影すると同社独自のAIがそのいきものの名前を判定、アプリ内に保存されエリア内のいきものを集めてコレクションすることができます。さらに今回の事業では、一定数の生き物を集めると黒岳ロープウェイ乗り場にあるコロンビアカフェで記念ステッカーがもらえます。登山者にゲーム感覚で参加をしてもらいながら、亜高山・高山帯のデータを集めます。これらの撮影データは、日時・位置情報とともに北海道大学地球環境科学研究院(渡辺悌二教授ら)に提供され、植生調査・研究に活用されます。登山客が増えアプリを使って写真撮影をする方が増えるほどに、調査サンプルが増えより高度で正確な研究が実現する「登山者参加型生物多様性調査」の確立を目指します。
バイオーム ブログページアドレス https://biome.co.jp/biome-blog/
●SDGsの推進と企業参加型のワーケーションプログラムの提供
上川町は本事業を通し、SDGsの「15 陸の豊かさも守ろう」へ貢献。さらに、本事業を核とした企業向けのワーケーション プログラムの開発を検討中です。SDGs推進を推進する企業と連携し事業の拡大を図ります。