人が来ることで直っていく山にしたい
大雪山の登山道を管理する大雪高原温泉ヒグマ情報センターの岡崎さんは、「アウトドアには人間の根源的な部分がある」と考えます。
故に、都会人は何か山に取りつかれ、山に来て感動して帰ります。なぜ感動するか。そこに理由は特にありません。
岡崎さんは「山を求めて来ている人が道を崩していく状態が、自分にとっては悲しい」と嘆いています。
だからこそ、岡崎さんは「人が来ても崩れない山にして、人が来ることで山が直っていく」と願い、曲がった木を自然と融合するようにバランスよく配置するなど登山道を修理することに骨を折っています。その工夫は、見事に自然と調和します。
大雪山の大きな魅力は、見渡す限りに広がる素晴らしい景色。
ヒグマも日々一生懸命に生きているだけで、自然のためになっています。
人の心には、このような景色が素晴らしいものだと思う気持ちが根底にはあるのではないでしょうか。
それを守っていくことは、どう考えても必要だと岡崎さんは思っています。
岡崎 哲三(おかざき てつぞう)
1996年、大雪山黒岳で働きはじめる。
日々崩れていく登山道に危機感を感じ、山岳管理に興味を持つ。2003年に「近自然工法」という登山道整備の考え方を知り、それを探究し実践するための会社を立ち上げ、さらに山岳管理を広げるために大雪山・山守隊を組織する。現在大雪山を拠点にし、山岳管理を発展させるため全国各地に近自然工法を伝えている。